人、物、情報、すべてが目まぐるしく行き交い変化し続ける都市、東京。
女子高生のサクラは、心から夢中になれるものもなく、ただ日々を過ごしていた。
ある日、サクラの前に一匹の白狐が現れる。
サクラは、何か大きな力に突き動かされるように夢中で白狐を追いかけるうちに、異世界に迷い込んでしまう。
そこは、多様な“日本”が“時空を超え”行き交い変化しつづける世界──JAPAN IN THE BOX。
突然、サクラの持っていたスマートフォンが光り出し、桜の精霊・SAKURAが語り出す。
サクラを待っていたこと、四季の精霊たちがいざない導くこと、そして最後に「すべては、あなたの心の中──」と言い残し消えていくSAKURA。
すると一瞬にして満開の桜が砕け散り、枯れ果てた世界に変貌してしまう。
再び白狐が現れ、大切に持っておくようにとお守り袋をサクラに渡す。
今まで感じたことのない心の揺れに戸惑いながらも、白狐の後を追っていくサクラ。
妖艶に舞いサクラを迎えるのは、春の国を司る精霊・MIYABI。
枯れ果てた桜を「咲かせられるのは、あなただけ」とサクラに歌い迫る。
心から望む一歩を踏み出せば、あなたが思うだけ世界は広がっていくと伝える。
雅やかに咲き誇る春の光景が、希望を抱く風となってサクラの心を広げていく。
夏の国を司る精霊・CHOCOは、笑顔と歓喜に満ちた夏祭りにサクラを誘い込む。
天真爛漫で元気いっぱいのCHOCOの笑顔が、サクラの臆病だった心の扉を開ける。
竜宮の海の世界を旅するうちに、サクラは心から喜びを感じ始め、CHOCOや仲間たちとの絆を深めてゆく。
秋の国を司る精霊・RINは、心技体を通して光と影を見つめ戦う女剣士。
心に潜んでいたサクラの頑な思いや迷いが、忍者の姿となってサクラに襲いかかる。
サクラを守りながらも、不安や恐れから逃げずに立ち向かう勇気と覚悟を全身全霊で伝えるRIN。
サクラは迷いを断ち自分を信じて前に進むことをRINと約束する。
最後の導きの手は、冬の国を司る精霊・SETSUNA。
動き始めたばかりのサクラの心は、あと一歩をまだ踏み出せずにいる。
そんなサクラに、SETSUNAは雪景色や星の世界を見せる。
壮大な自然を前に、サクラはちっぽけな自分に気づき、雪が心を灯し、星が歩む道を照らしてくれていることを感じ、四季の精霊たちを思い出していた。
心の花を咲かせるよう歌い舞う春の精霊・MIYABI
ただ思いっきり楽しめばいい!輝く笑顔の夏の精霊・CHOCO
迷いを断ち自分を信じる強さを教えてくれた秋の精霊・RIN
サクラの心を映すように寄り添い歌う冬の精霊・SETSUNA
4人の精霊たちがサクラの心と響き合いひとつになっていく。
そして、JAPAN IN THE BOXで最初に出会った“桜の精霊・SAKURA”が現れ、サクラとひとつになったその時、まるで始めの光景と同じように白狐が現れ、サクラに渡したお守り袋を開けるよう告げる。
その中には、終わりは始まりのしるしである“芽吹きの種”が入っていた。
今までの迷いに終わりを告げ、新たな始まりの一歩を踏み出せた者だけに与えられるその種が、サクラの手から天高く放たれ、喜びが響き渡るように芽吹きが始まる。
JAPAN IN THE BOXの春夏秋冬が終わり、再び春を迎える。
ついにサクラが、桜の花を咲かせる時が来た。
満開に咲き誇るその桜は、MIYABIの雅やかさ・CHOCOの明るさ・RINの強さ・SETSUNAの優しさ・SAKURAの麗しさを合わせもった、サクラだけが咲かせられる美しい姿だった。
サクラの中に眠っていたSAKURAに呼び覚まされるようにJAPAN IN THE BOXを巡り、新たな姿に生まれ変わった“サクラ”は、桜吹雪の中、希望の翼を大きく広げ、まだ見ぬ未来へ羽ばたいていく。
サクラの自分史(ものがたり)は、今、始まろうとしている。